税務コラム

2023.02.05

消費税の確定申告と納付期限

大阪市の西川一博税理士事務所では、法人・個人の方の税金・経営・資金調達・遺産相続などの幅広いお悩みにお応えしております。

「専門家からアドバイスを受けたい」「悩みを聞いてほしい」という時に、ご相談者様の目線に立ってベストなアドバイス・サポートをお届けいたします。

また実際のアドバイス・サポートだけでなく、こうしてブログという形でも皆様のお悩み解消・アイデア創生に繋げられれば幸いです。

今回は“消費税の確定申告と納付期限”について解説いたします。

消費税の申告と納付期限について

消費税の申告及び納税は、原則、課税期間が終了した日の翌日から2か月以内に行う必要があります。

また、個人事業主の場合は、課税期間の翌年の3月31日までが期限となります。

さらに、前年度の消費税額が48万円を超えると(ただし国税のみの金額で、地方税は含まれず)、中間申告の対象となります。

消費税の中間申告とは、前年度の消費税の納税額が一定の額を超えた場合、年度の途中にその額に応じた税額を申告・納税する制度のことであり、分納することで納税者への資金負担を減らすことに加え、国としては早めに税金を確保することを目的としています。

消費税の納税方法の種類

消費税の納税方法には次のようなものがあります。

・電子納税(e-Tax):事前登録した預貯金口座から振替を行うダイレクト納付や、インターネットバンキングを利用して納付する。

・窓口納付:納付書により金融機関または所轄の税務署の窓口で納付する。

・振替納税:所轄の税務署または預貯金先の金融機関に口座振替依頼書を提出する、またはe-Taxから口座振替依頼書を提出して納付する。

・コンビニでの納付:国税庁ホームページで納付に必要な情報をQRコードとして印刷し、コンビニで納付する(30万円以下)。

・クレジットカード納付:クレジットカード支払い専用Webサイトから納付する(決済手数料がかかる)。

申告や納税が期限内に間に合わないときは?

期限内に申告・納税ができないと延滞税や加算税が課される場合があるため、間に合わないと思われるときは「申告期限の特例」を利用することを検討しましょう。

ただし、申告期限の延長が認められたとしても、延長された期間に利子税がかかりますので、あわせて納付する必要があります。

消費税の各種手続きや申告・納税に関することのほか、納税の免除、法人成りのタイミングなどについてお悩みの方は、大阪市の西川一博税理士事務所までお気軽にご相談ください。

2023.01.05

会社設立は自力でできる? 会社を設立したら税理士をつけるべき?

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今回は“会社設立の際の税理士の重要性”について解説いたします。

専門家に頼らずに会社を設立することはできる?

会社をつくるときには、会社を設立する前の準備、法人登記のための手続き、会社を設立した後の手続きという3つの段階があり、それぞれにおいて決定しなければならない事項、書類作成、各種届出などやるべきことは数多くあります。

しかし、時間と労力がかかるとは言え、自力で会社を設立することは不可能ではありません。

ただ、日々の事業と同時進行で手続きを行うことは、時間や体力を想像以上に消費してしまうものです。

ミスによる不要なコストを避けるためにも、設立に関する手続きは専門家に依頼し、ご自身は業務に専念されることをおすすめします。

会社をつくったら顧問税理士をつける方がいい?

会社の設立とは、独立開業や法人成りをして事業を行っていく、言ってみればスタート地点となるものです。

そのような設立時から顧問税理士をつけておけば、事業開始後の税務や節税についてのアドバイス、決算・税務申告の代行だけでなく、設立時の資金調達や先の事業計画についても相談ができ、会社の経営において幅広いサポートを受けることができます。

また、会社をつくるタイミングで顧問契約を前提に顧問税理士をつけると、設立にかかる手数料を安くしてくれるなど費用が抑えられる場合があります。

会社設立を依頼する専門家は?

会社設立に関する手続きは一般的に、司法書士、行政書士、税理士のいずれかに依頼します。

登記申請のみを依頼したい場合は司法書士に、定款作成・承認のみを依頼したい場合は行政書士に相談されるといいでしょう。

もし、資金が必要なため創業融資を受けたいという場合や、設立後の税務や節税対策についても相談したいという場合には、設立時から税理士のサポートを受けられることをおすすめします。

2022.12.02

STEP3.会社設立後の手続き

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今回は“会社設立後の手続き”について解説いたします。

会社設立後に行う手続きは?

会社設立の登記が完了したら、以下の手順で設立後の手続きを進めていきましょう。

1.登記事項証明書と印鑑証明書を取得します

社会保険の手続きや法人口座の開設の際に必要となるため登記簿謄本(登記事項証明書)を取得します。

2.役員報酬を決定します(3ヶ月以内)

役員報酬の金額は、会社設立後3か月以内に株主総会を開いて決定します。

3.役所、税務署などに届出を行う

税務署に提出する書類は次の8種類です。

・法人設立届出書

・給与支払事務所等の開設届出書

以下、任意のもの

・青色申告の承認申請書

・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

・減価償却資産の償却方法の届出書

・棚卸資産の評価方法の届出書

・有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書

・消費税関係の各種届出書

都道府県税事務所と市町村には、定款のコピーと登記事項証明書を添付した「法人設立届出書」を提出する必要があります。

年金事務所へは、事業主1人だけの会社であっても「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」の提出が必須となり、任意のものでは「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」「健康保険 被扶養者(異動)届」の計3種類を提出しなければなりません。

また、従業員を雇用する場合は、労働基準監督署に「労働保険 保険関係成立届」「労働保険 概算保険料申告書」を、ハローワークに「雇用保険 適用事業所設置届」「雇用保険 被保険者資格取得届」を提出します。

4.法人口座を開設します

法人用として個人口座を利用することもできますが、将来的に金融機関から融資を受ける際に不利にならないよう、また、税務署や取引先に不信感を抱かせないためにも、法人口座を開設することをおすすめします。

5.会社設立前に支出した費用を会計処理します

定款などの作成費用や登録免許税、会社設立手続きを専門家に依頼した手数料などは「創立費」として、また、広告宣伝費や名刺作成費、市場調査費用、接待交通費は「開業費」として仕訳をします。

これらは原則として営業外費用となりますが、任意で繰延資産として計上することも可能です。

これまで見てきたように、会社設立の手続きはご自身で行えるものの、事業を行いながら進めることを思うと多くの時間と労力がかかってしまいます。

やり直しや間違いがなく手続きを進めるために、一度、会社設立を得意とする専門家にご相談されてみてはいかがでしょうか。

2022.11.02

STEP2.法人登記の手続き

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今回は“法人登記の手続き”について解説いたします。

法人登記の手続きの流れ

会社設立の準備を完了したら、以下の手順で法人登記の手続きを行いましょう。

定款を作成し、認証してもらいます

登記申請には会社の基本的な規則を示す「定款」が必要となるため、まずは定款の作成と、公証役場での認証を行わなければなりません。

定款の作成から認証は次のような流れに沿って行います。

1.定款の記載事項を決定する

2.発起人全員の実印・印鑑証明を用意する

3.発起人全員が同意し、定款を作成する

4.公証役場で定款の確認をしてもらう

5.公証役場へ行き、正式に認証してもらう(合同会社の場合は不要)

6.定款の謄本を交付してもらう

定款に記載するのは「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」を中心とする事項で、絶対的記載事項(商号、事業目的、資本金、本店所在地、発起人の氏名または名称及び住所、発行可能株式総数)は1つでも記載漏れがあると定款が無効となるため注意が必要です。

また、定款の認証は郵送では行えません。

本店所在地を管轄している法務局または地方法務局に所属する公証役場に直接行って、認証をしてもらうことになります。

定款認証に必要な持ち物は、定款、発起人全員の印鑑証明書、定款印紙代、発起人全員の実印、謄本交付手数料、公証人認証手数料、委任状(代理人が行う場合)などです。

2.資本金を払い込みます

次に、発起人の個人名義の銀行口座(まだ会社が存在しないため)を使って資本金を払い込みます。

払い込み後、「払込金額の総額」「払込件数」「1株の払込金額」「日付(資本金が振り込まれた日以降のもの)」「商号」「本店所在地」「代表取締役の氏名」を記載した払込証明書を作成します。

3.登記申請を行います

登記申請では、「登記すべき事項」を記録したもの(データまたは紙面)と、登記申請書に添付書類を合わせ製本したものを、両方とも管轄の法務局に提出する必要があります。

登記すべき事項とは、基本的には定款に記載している内容と同様のものとなります。

登記申請後、およそ7〜10ほど連絡がない場合に登記は完了となり、会社の設立日は書類を法務局に提出した日(申請日)となります。

2022.10.05

STEP1.会社設立前の準備

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今回は“会社設立前の準備”について解説いたします。

会社設立前に行う準備4項目

法人登録の手続きを順調に行うためには、会社設立前の準備を確実にしておくことが大切です。

設立前の準備について、その内容を以下で具体的に見ていきましょう。

 1.会社の基本事項を決定します

会社の基本事項とは定款や登記事項に定める項目のことであり、具体的には次の6項目となります。

会社名(商号)

会社名は制約の範囲内において自由に決めることができます。

事業目的

何を行う会社かを表したものです。記載しない事業は行うことができないため、将来的に展開する予定の事業があれば、あらかじめ記載しておきましょう。

本店所在地

会社の住所のことですが、事業を行う場所と一致する必要はないため、自宅などに設定することもできます。

機関設計

会社における機関とは、意思決定や業務を執行する権限をもつ役員、委員会のことを指し、どの機関を何人設置するか決定することを機関設計と言います。

資本金

資本金は会社の事業を行うために出資者が出資した資金のことであり、株式会社の最低額は1円となっています。

しかし一般的な相場は、3〜6ヶ月の間純利益がなくとも事業を継続できる額とされています。

設立日と決算月(事業年度)

法務局で登記申請を行なった日が設立日となり、設立日から1年以内を決算月に設定します。

2.会社の印鑑を準備します

会社設立のための手続きやその後の業務で必要となるため、会社の印鑑を準備しておきましょう。

3.発起人の印鑑証明書を準備します

会社設立を発起し、出資する人を発起人と言います。

定款認証の際に発起人の印鑑証明書が必要となりますので、準備しておきましょう。

4.資金調達をします

資金不足であれば融資、補助金・助成金の制度などを利用し資金調達をします。

資金調達には、事業計画書や創業計画書が必要となります。

準備には時間がかかるものもあるため、会社の設立前からあらかじめ進めておくようにしましょう。

不明なことがある、または、日常の業務があるためスムーズに進められないといった場合には、専門家にご相談されることをおすすめします。

2022.09.05

会社設立の3つの流れ

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今回は“会社設立の3つの流れ”について解説いたします。

会社をつくる3つの流れを確認しましょう

会社を設立するにあたって、具体的にはどのような手続きが必要になるのでしょうか?

会社をつくるための準備から、設立した後の手続きまでをまとめると、大まかに3つの流れに沿って進めていくことになります。

それぞれの段階ごとの流れを、簡単にみていきましょう。

会社を設立する前に必要な準備は?

1.会社名(商号)、事業目的、本店所在地、機関設計、資本金、決算月と設立日といった会社の基本事項を決定します。

2.設立の手続きにも必要となるため、会社の印鑑を準備します。

3.定款認証の際に必要となるので、発起人の印鑑証明書を準備します。

4.資金が不足していれば、資金調達をします。

いよいよ法人登記の手続きを行います

1.法人の登記申請に必要な定款を作成し、公証役場で認証をしてもらいます。

(ただし、合同会社は不要となります。)

2.資本金を払い込み、払込証明書を作成します。

3.管轄の法務局に、登記すべき事項を記録したもの及び登記申請書に添付書類を合わせたものを両方提出し、登記申請を行います。

会社を設立した後に行う手続きは?

1.社会保険の手続きや法人口座の開設に必要となるため、登記事項証明書を取得します。

2.会社設立から3ヶ月以内に役員報酬を決定します。

3.役所や税務署など所定の機関に、会社設立に関する書類や健康保険に関する書類など、各種届出を行います。

4.定款の作成にかかった費用や登録免許税、広告宣伝費など、会社設立前に支出した費用の会計処理を行います。

5.法人口座を開設します。

こうしてみてきたように、会社の設立には大まかに3つの段階があり、1つずつ流れに沿って手続きを進めていくことになります。

日々の業務が忙しい方や、手続きがややこしくなかなか進められないという方は、一度専門家に相談されてみてはいかがでしょうか。

2022.08.05

会社設立(法人化)のメリット・デメリット 法人の種類はどんなものがある?

大阪市の西川一博税理士事務所では、法人・個人の方の税金・経営・資金調達・遺産相続などの幅広いお悩みにお応えしております。

「専門家からアドバイスを受けたい」「悩みを聞いてほしい」という時に、ご相談者様の目線に立ってベストなアドバイス・サポートをお届けいたします。

また実際のアドバイス・サポートだけでなく、こうしてブログという形でも皆様のお悩み解消・アイデア創生に繋げられれば幸いです。

今回は“会社設立(法人化)のメリット・デメリット”と“法人の種類”について解説いたします。

会社を設立するメリットとデメリットは?

将来的な独立や法人化を予定されている方にとって、会社を設立することで得られるメリットと付随するデメリットについては、押さえておきたいところではないでしょうか。

まず、会社をつくる(法人化する)ことのメリットの1つめは、法人格を得たことで社会的な信用度が高まるということが挙げられます。

また、大手企業の中には取引相手を法人に限定している会社もあることから、取引の幅が広がるという利点があるかも知れません。

次に2つめのメリットとして、個人よりも経費と認められる範囲が広いことから、節税の効果が高くなるということが挙げられます。

さらに3つめのメリットには、融資を受ける際、個人事業主よりも返済能力に関しての信用度が高くなること、つまり資金調達がしやすくなることが挙げられるでしょう。

続いて、会社を設立するデメリットとしては、登記手続きなどが必要となり、費用が多くかかることが考えられます。

また、法人の税務申告は個人が行う確定申告に比べて複雑であることに加え、株主総会を開催したり変更登記が必要になったりと、その都度事務的な作業の負担が増えるということも念頭に置いておいた方がいいでしょう。

法人の種類にはどんなものがあるのでしょうか?

会社を作る際は、どの法人形態にするのかを決定しなければなりません。

多くの場合、会社設立では「営利法人」と「非営利法人」のいずれかを検討することが一般的でしょう。

営利法人には「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」が該当し、事業で発生した利益を社員や株主など個人に分配することを目的としています。

非営利法人は「NPO法人」「社会福祉法人」「一般・公益社団法人」「一般・公益財団法人」などが該当し、利益分配でなく団体の目的のために利益を使用する法人のことを指します。

会社を設立するメリットとデメリット、法人の種類についてご説明しましたが、会社設立の手続きや法人化するタイミングなど、業務をこなしつつお一人で進めるのはなかなか難しいかも知れません。

起業や会社の設立でお悩みであれば、専門家のサポートを受け、相談しながら進められることをおすすめします。

2022.07.28

インボイス制度について

インボイスとは

2023年10月からインボイス制度が導入されます。
インボイス」って何?  という方々も多いと思いますので、なるべくわかりやすく説明したいと思います。

まず、この制度は消費税に関するものであるということ、これが大前提です。

ですから、消費税の納税者の方以外はとりあえず関係ありません。

つまり、消費者にとっては全く関係ありません。消費税を納めておられる方がど真ん中になる制度です。

 

インボイスは「適格請求書」を指します。国が規定した適用税率や消費税額を明記した書類を言います。

今までは特に定めがなく、自由であった記載方法が決められています。端的に言えば、8%か10%かはっきりさせてくださいということです。
 

しかし、その「適格請求書」は誰でも作成していいわけではありません。国に申請して、登録番号を取得しなければなりません。言い方を変えれば、「適格請求書発行事業者」になる必要があります。その登録番号を明記しないと「適格請求書」とは認められません。

〇 仕入税額控除とは

ここで問題となるのが、取引先(仕入先)が「適格請求書発行事業者」かどうかです。なぜでしょう。
このことについて説明するには、消費税の「仕入税額控除」についてお話ししなければなりません。

その前に今更ですが、消費税の計算方法、納税の仕組みを理解してください。簡単な図を例に説明します。

図にある通り、消費者が支払った150円の消費税はAが100円、Bが20円、Cが30円納めることによって、国庫に入ります。

100+20+30=150円です。
Aについては問題ないですね。Bから受領した消費税100円を納めます。

ではBはどうでしょう。Cから受領した消費税120円をそのまま納めるわけではありません。Aに仕入れた際100円の消費税を支払っています。

ですから、その差額120-100=20円を納めればいいのです。

商品本体の利益を考えてみてください。1,200-1,000=200円です。実際に手元にある金額は1,320-1,100=220円ですが、20円部分は利益ではなく、納付すべき消費税であり、利益に影響させてはいけません。Cについても同様です。

さて、仕入税額控除です。商品等を仕入れた際の消費税のことを言います。図で言えば、Bの100円、Cの120円がそれです。

インボイス制度」が導入されれば、取引先が「適格請求書発行事業者」でなければ、この仕入税額控除が認められません。

例えば、Aが「適格請求書発行事業者」でないと、Bの納税すべき消費税は、Aに支払った100円は仕入税額控除が認められず、120円になります。

取引先(仕入先)が「適格請求書発行事業者」であるかどうか

ここまでお分かりいただけたでしょうか。今まではすべての取引について仕入税額控除が認められていましたが、インボイス制度が開始されるとそうはいかなくなるのです。
例えば、小さい飲食店、個人タクシー、その他小規模な個人商店等を利用した場合、支払った消費税が控除されなくなるのです。

ではまずどうしたらいいでしょう。取引先に「適格請求書発行事業者」かどうか問い合わせましょう。

参考:「インボイス制度対応企業間取引の手引き

もし、取引先(仕入先)が「適格請求書発行事業者」でなければ、消費税分は支払わないでよくなります。取引先(仕入先)によって、仕入税額控除を受けられるか、受けられないか異なることになります。インボイス制度開始前にしっかり確認しておいてください。

ここまでは、取引先(仕入先)のことをお話してきましたが、以下はご自身の事業、会社について説明します。

課税事業者(消費税を納税している方)であるとき

当然、「適格請求書発行事業者」の登録申請を行ってください。そして、登録番号を取得してください。
もし、「適格請求書発行事業者」でないと、取引先から消費税部分の金額を受領できなくなります。簡単に言うと売上が10%減少します。でも、消費税は納税しなければなりません。それだけ利益が減少します。

「適格請求書発行事業者」になれば、今まで通り何ら変化はありません。

 

免税事業者(消費税を納税していない方)であるとき

今更ですが、免税事業者とは、年間売上が1,000万円以下である事業者をいいます。「適格請求書発行事業者」の登録申請をするかどうか、思案のしどころです。

「適格請求書発行事業者」の登録申請をしないとき

取引先から消費税部分の金額を受領できなくなります。簡単に言うと売上が10%減少します。消費税は納めなくていいですが、売上の10%減少は厳しいです。しかし、売上の相手先が消費税の課税事業者(消費税を納税している方)でなければ、売上の金額は今まで通りで問題ありません。小規模の小売業等、消費者相手の事業者の方はこの選択でOKです。

適格請求書発行事業者」の登録申請をするとき

取引の実態は今まで通りです。ただし、消費税の納税が必要になります。つまり、消費税の納税額だけ利益が減少します。でも、その消費税の金額は、売上の10%丸々ではないです。

先ほどの説明を思い出してください。仕入税額控除が認められます。ですから、利益は減少することにはなりますが、売上が10%減少することと比較すれば、この選択がいいでしょう。しかし、経理の手間は増えますし、書類の整理にも時間は取られるでしょう。消費税の申告も必要になります。

かなり大雑把な説明でしたが、ご理解いただけたでしょうか。「適格請求書発行事業者」を選択するかどうか迷っておられる方、どうぞ税理士にご相談ください。業種や形態はそれぞれでしょうから、個別に相談していただいてしっかりお考え下さい。

 

インボイス制度のスケジュール

《制度の開始》

・令和5年10月1日から開始です。

《申請期限》

・令和5年3月31日までです。

申請方法等は国税庁ホームページ、各税務署の説明会等をご利用ください。
もちろん、税理士は喜んでお手伝いします。

インボイス制度についてや、その他税務については、お気軽に当事務所までご相談ください。

2022.07.05

決算申告のみ税理士に依頼は可能?

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今回は“税理士への決算申告の依頼”について解説いたします。

決算申告とは?

決算申告とは、法人が毎年行わなければならない決算処理の手続きのことを言います。

決算申告書の作成、法人税・消費税などの計算、支払いの手続きなど、税に関する専門的な知識を必要とするため、経営者ご自身が税理士資格を持っていたり、税務に関する仕事経験がある方でない限り、税理士に依頼して行うのが一般的となっています。

決算申告のみのスポット契約と顧問契約の違いとは?

税理士との契約には、決算申告のための書類作成や税金の計算といった、決算処理のみを単発で依頼するスポット契約と、決算申告を含め継続してサポートを受ける顧問契約があります。

決算申告のみを依頼するスポット契約では、料金の相場は15〜25万円程度となりますが、元帳(すべての取引を記録したもの)など提出した書類に不備や間違いが多い場合、追加料金が発生することもあります。

決算申告のみを依頼する場合のメリットとデメリットは?

決算申告のみを税理士に依頼した場合、当然ながら顧問契約に比べて料金が安くなるため、特に会社を設立したばかりの経営者にとっては、経費の負担が少なく済むというメリットがあります。

また、決算書には作成した税理士の名前が記載されることも1つのポイントと言えるでしょう。

なぜなら融資の際、金融機関は決算書を見て可否を判断するため、税理士の署名が入った決算書は自社作成のものに比べ信頼性が高く、資金調達においても利点があると考えられるからです。

しかし、年に1度のやり取りとなるスポット契約では日常的な税務相談がなく、節税対策が十分に行えないというデメリットもあります。

税務について相談やアドバイスを受けるためには相談料が別途かかることになるので、顧問契約に切り替えるなど、会社の状況に応じて選択し、契約することをおすすめします。

2022.06.05

労働分配率ってなに?

大阪市の西川一博税理士事務所では、法人・個人の方の税金・経営・資金調達・遺産相続などの幅広いお悩みにお応えしております。

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今回は“労働分配率”について解説いたします。

労働分配率とは?

労働分配率とは、会社が事業活動で生み出した付加価値のうち、どれだけを人件費に分配しているかを表す指標のことです。

ここで言う付加価値とは、会社が新たに生み出した価値のことであり、人件費とは費用ではなく、利益の配分として考えます。

また、人件費には給与と役員報酬以外に、賞与や退職金、福利厚生費や研修教育費なども含まれます。

労働分配率を求める計算式は?

労働分配率は、

労働分配率=人件費÷付加価値×100

という計算式で求めることができます。

また、付加価値の計算方法には中小企業庁方式である控除法と、日銀方式である加算法があります。

控除法:付加価値=売上高-外部購入価額

加算法:付加価値=人件費+経常利益+減価償却費+賃借料+金融費用+租税公課

加えて、人件費について考える際に重要になるのが労働生産性です。

労働生産性とは、投入した労働量に対しどのぐらいの付加価値が生み出せたかを表す指標のことで、

労働生産性=付加価値÷従業員数

という計算式で求められます。

労働分配率は、適正に保つことが大切です

労働分配率の平均値は、会社の規模やどんな業種かによって異なりますが、大企業であればおよそ50%、中小企業であれば70〜80%ほどとなります。

しかし、飲食サービス業や運送業といった人の労働力の割合が高い場合では労働分配率も高くなる傾向にあるため、比較する場合は同業他社を参考にした方がいいでしょう。

ご自身の会社の労働分配率が平均値から大きく乖離している場合は、問題点の洗い出しや改善策を講じることをおすすめします。

ただし、労働分配率が高いからと言って人件費を削減してしまっては、従業員のモチベーションが下がり、結果的に会社の業績を上げることが難しくなります。

そのため、人件費の割合を考慮するのであれば、労働生産性を上げる方法を検討・導入する方が会社としては健全であると言えるでしょう。

企業を継続していくうえでベストであるのは、労働分配率が高く、かつ労働生産性も高い(付加価値が高く、給与も高い)状態です。

労働分配率についてよく知りたい、労働生産性を高めたいという方は、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

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