税務コラム

2023.04.04

相続税申告が必要かどうか

大阪市の西川一博税理士事務所では、法人・個人の方の税金・経営・資金調達・遺産相続などの幅広いお悩みにお応えしております。
「専門家からアドバイスを受けたい」「悩みを聞いてほしい」という時に、ご相談者様の目線に立ってベストなアドバイス・サポートをお届けいたします。

また実際のアドバイス・サポートだけでなく、こうしてブログという形でも皆様のお悩み解消・アイデア創生に繋げられれば幸いです。
今回は“相続税申告が必要になるケース”について解説いたします。

相続税の申告と納付が必要になる金額は?

相続税は、財産を相続したすべての方に発生するというわけではありません。
相続税の申告と納付とは、相続財産が一定の金額を超える場合に行う必要があり、その判断に必要となるのが相続税の基礎控除です。

基礎控除を算出する計算式は、
基礎控除=3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)
となり、遺産総額が基礎控除額を超えていなければ、相続税の申告及び納付の必要はありません。
なお、遺産の総額は相続財産のプラスの財産(土地や建物、預貯金、株式など)からマイナスの財産(借金や債務など)を差し引いた金額の合計となります。

相続税はかからないけれど、相続税の申告が必要となるケース

特例や税額控除を適用して遺産総額が基礎控除を下回る場合には、相続税が発生しなくても相続税申告が必要となるケースがあります。
代表的な特例や控除として「小規模宅地等の特例」「配偶者控除」がありますが、これらの適用には相続税の申告が要件となっています。

<小規模宅地等の特例>
被相続人の自宅や事業に使っていた宅地について、評価額を下げることができる特例です。

<配偶者控除>
配偶者の相続財産が評価額1億6,000万円までであれば相続税がかからない特例です。
また、1億6,000万円を超えても法定相続分の範囲内であれば相続税はかかりません。

未成年者控除・障害者控除・相次相続控除の適用により、相続税がかからないケース

遺産総額が基礎控除を超えるものの、「未成年者控除・障害者控除・相次相続控除の税額控除」を適用して相続税がかからないケースでは、相続税の申告は不要となります。

<未成年者控除>
満18歳になるまでの年数×10万円で計算した金額を控除することができます。
※相続の開始が令和4年4月1日以降の場合。
 相続の開始が令和4年3月31日以前の場合は[満20歳になるまでの年数×10万円]

<障害者控除>
障害者の税額控除額は次の計算式によって算出されます。
一般障害者:10万円×(85歳−相続開始日の障害者の年齢)
特別障害者:20万円×(85歳−相続開始日の障害者の年齢)
※一般障害者よりも特別障害者の方が障害の程度が重いことから、控除額が大きくなります。

<相次相続控除>
相続の発生から10年以内に次の相続が発生した場合、一次相続の相続税を二次相続の相続税から一定額控除することができます。

相続税の申告と納付は、そもそも申告が必要かどうかを判断するところから始まります。
相続税がかからなくとも、適用する税額の控除や特例により申告が必要になる場合もありますので、ご自身での判断や手続きに不安があるという方は、お早めに専門家にご相談されることをおすすめします。